【映画メモ】ヒトラーの忘れもの マルティン・サンフィリート監督
「ヒトラーの忘れもの」という映画を先日観てきた。
2017年アカデミー賞®外国語映画賞デンマーク代表。第二次大戦直後のデンマーク。ナチが埋めた200万個の地雷を撤去したのは、異国に置き去られたドイツの少年兵たちだった―
もうリード文から悲壮感が漂ってきますが、映画本編も悲劇の連続でした。
※ネタバレ要素は少なめに感想を書きますが、情報遮断している人は回れ右でお願いします。
誰が被害者なのか?
物語の中心にいるのはデンマークの軍人(以後”彼”とする)。ドイツ兵がデンマークから引き揚げていく描写から物語は始まります。そして、その彼の下に送られてきた要員がドイツの少年兵。(ヒトラーユーゲント) ミッションは海岸に敷き詰められた地雷を撤去すること。彼は少年兵に言います。「ヒトラーがやった悪行だからドイツ人であるドイツの少年兵が撤去作業をするのが当然だ」と。
誰が狂ってるのか?
しかし、彼にも娘も妻もいる。娘より少し年齢が上の少年兵に、自由を奪われ、死と隣り合わせの仕事を強いることに彼も葛藤を抱える。でも、彼は自分は普通である、と自らを正当化しながらミッションを進める。だけど、どんどん彼は少年兵らに情を持つようになる。希望を持て、と接するようになる。しかし、彼に対してデンマークの軍部は「お前は狂ってる」と突き上げられる。
何が悪いのか?
戦争で地雷を撒いた人間が悪いのか?戦争を始めた人間が悪いのか?後始末を敵国の少年兵にやらせる人間が悪いのか?少年兵が悪いのか?戦争を回避できなかった政治家が悪いのか?戦争をあおったメディアが悪いのか?
誰が悪いのか、という議論をすることにはまったく意味がない。
どうすればよかった、という議論をすることにも意味がない。
戦争が起こらないようにしなければいけない。戦争はしてはいけない。ただそれだけを強く思った映画でした。精神的にえぐられるので、体調がよい休みの日にどうぞ。
※追記※
帰ってきたヒトラーも面白かった。ヒトラーが就任した際、最初はみんな笑っていた。面白がっていた。そして誰も当事者意識を持っていなかった。気づけば悲惨な状況だけが残った。